非常用持ち出し袋を考える

ここ最近、想定外の災害が増えています。私が住んでいる場所も2018年の秋に停電になりました。(関西国際空港が閉鎖になったあの豪雨の影響です)

いつなんどき、避難をするかもしれません。しかし、お店やネットで見かけるあの銀色や赤色の非常用持ち出し袋は、 たしかに目立ちやすくて非常時に良いのだろうけど、ほんとうにいざという時に持ってゆこうという気持ちになるのでしょうか。

そこで、非常用持ち出し袋を少し考えてみたいと思います。

私なりの結論

最初に私なりの結論を書いておきます。私の場合は、いろいろ試行錯誤したあげく、以下の2つに収まりました。

住居用
カート型の大型キャリーバッグ内にリュックをふたつ仕込む仕様にしました。65リットルサイズのOUTDOORのローリングダッフル(キャリー・ボストンというほうが日本では通りがいいかも)中に大小2つのリュックを仕込んでいます。
職場用
大きめのワンショルダーポーチをビニール袋にくるんで机の足元に置いています。

以下にその理由を書いてゆきます。 そして、なぜ「私なり」なのかという理由も合わせて書いてゆきます。

災害・場所・時刻を想定した避難グッズを

非常用持ち出し袋を考える際に、一番重要だけれども、意外と観点から抜けていると思うのが、どのような災害を想定するのか、どこで被災することを想定するのか、それは昼間なのか夜なのか、というようなところです。これらをあらかじめ整理しておくと、実際の非常時に非常用持ち出し袋に何が足りないのかを考えておくことができると思います。

災害の種類でいうと、地震・台風・豪雨・高潮・津波・火災ということによっても変わるでしょうし、場所でいうと、自宅、勤務先、通勤途上によって変わってきます。 時刻でいうと、深夜就寝時なのか勤務中なのかということ以外に、災害発生前の避難なのか発生後の避難なのかによっても多少変わってきます。

これに加え、独りなのか、家族と一緒なのか、とか自宅や職場から避難所までの距離は遠いのか、土砂崩れや河川氾濫がありうる近隣環境なのかどうなのかなどで大きく変わってくるので、それらの想定により、重点的な備えをどうするのかが多少変わってくると思います。

リュック型の非常用持ち出し袋の限界

非常用持ち出し袋というと、なんとなくリュックという固定概念がありますが、本当にリュックがベストなんでしょうか。 たしかに地震等が発生して、すぐに脱出するようなシチュエーションであれば、路面状況も災害状況もわからないので、リュックでの移動がベストでしょう。 しかし、実際には様々なシチュエーションが考えられるので、私はリュックとその他のバッグを併用するほうが良いと考えています。

近年増えている大型台風やゲリラ豪雨、大雪等の場合、気象庁から土砂災害警戒情報が発令され、市町村からは避難準備や避難勧告が発令されます。 日常の中で頻度として高いと思われるのは、このよう予防的に徒歩や自転車で近くの避難所に避難するというケースです。(この場合、すでに雨が降っているケースがあることを想定しておくべきでしょう。)

気象庁のサイトに掲載されている警報と避難情報との関係

さて、いわゆる市販の避難袋セットにはリュック1個の中にいろんなものが詰め込まれているのですが、これが結構な重量で、しかもパンパンに詰め込まれていて追加でものを入れることができません。
しかし避難袋にはそれなりの空きがないといけません。

たとえば常備薬とか、手元にある早めに食べてしまいたい食品とか、暑さ寒さを凌ぐための衣類、深夜で避難所に泊まりになることが想定される場合は、リラックスできる部屋着なども必要かもしれません。飲料水等も追加でほしいところですが、500ミリリットルの水を1本入れるだけで0.5キロの重さになるわけですから、おいそれと袋に入れるわけにはいきません。

あるいは避難先で渡される食料や備品類を持ち運ぶことも考えられます。そこで私が考えたのは「カート型の大型キャリーバッグ内にリュックをふたつ仕込む」という方式です。

大型キャリーバッグ

ネットで「遠征用 キャリーバッグ」などで検索すると、スポーツ道具を一式収納して、遠征用に持ち運ぶためのバッグがスポーツやアウトドア系のブランドなど、いろいろ販売されています。車輪が2つついていて、路面を転がして運ぶこともでき、もちろん手で持って運ぶこともできるものです。

たとえば私が購入したOUTDOOR PRODUCTSのキャリーバッグOD-0158-65は、53リットルの大容量で、転がすことができるほか、手で持つこともできるし、付属のショルダーで肩から掛けることも、バックパッカーのように背中で背負うこともできます。このモデルの場合、価格は2万円弱ですが、似たような形のノーブランドの安いものになると1万円以下で手に入ります。



中国製であれば、3000円から5000円くらいで販売されていますが、ちょっと心配なのでできればある程度のブランド品か日本で企画された商品が良いように思います。 防水性・撥水性をうたうものや、靴を別室に入れることができるものなど様々なタイプが販売されているので探してみてください。

日本で企画された製品だと、兵庫県・豊岡の「平野」という会社の100Lに拡張できるキャリーバッグが良いと思います。(値段もさほど高くないですし)


平野鞄 ジャーメイン・ギア(Germane Gear) KBN15177 (100L)

車輪がついていて転がせるというのは大きな利点です。歩いて避難するときはもちろんのこと、自転車などで避難する場合でも、車輪がついていると(交通法規的には駄目だけど)片手運転で転がして持って行けるので結構便利です。車のトランクや後部座席の足元に積み込むのも割と簡単です。
ただ、大雨でくるぶしまで浸かるような水が路面に冠水していると、水の流れにバッグ自体を持ってゆかれてしまうので、転がして使うことはできません。 あるいは、停電後のマンションのように避難する前から避難経路に階段や段差がたくさんあることが予想されたり、地震の影響で路面がガタガタという場合は、 キャリーバッグをリュックのように背負ったり、キャリーバッグを使わず、中身のリュックだけで逃げるほうが良いでしょう。

大型キャリーバッグにリュックを入れる理由

大型キャリーバッグにはまず避難用品を入れたリュックを2つ入れています。リュックの中に最も重要なものを入れ、キャリーバッグにはリュックの中に次いで重要なものを入れておきます。

リュックは以前防災セットとして購入したリュックです。利用者の体力や、収納物、価格に応じて選べば良いと思います。
ポイントは、普段は大型キャリーバッグの中にリュックを入れておくということです。リュックは状況に応じて取り出したり、収納したままにしたりして避難行動を取ることができます。

避難に余裕がある場合は、リュックを取り出して背負ってしまえば、大型キャリーバッグの中はほとんど空っぽになります。そこに例えば、靴、毛布類、防寒具、飲料水などの重たいもの、あるいはおもちゃやゲームなど、子供の気持ちが紛れるものを入れることができます。

逆に避難に余裕がない場合は、キャリーバッグだけを持ち出せばよいし、更に走って逃げないといけない場合は中身のリュックだけを持って逃げればよいのです。

リュック(大)

私が使っているリュックは、一番最初に防災セットを揃えるときに、リュック付きで販売されていたものです。防災セットが全部リュックの中に入った形で届きました。 無駄なポケットがほとんどなく、大きなスペースが真ん中にドン!と開いている単純明快なリュックです。普段使わないものなので、そんなにお金をかけても仕方がないように思っています。

リュックに入れているもの

リュックには緊急度・重要度の高いものを入れています。急いで走って逃げなければならないような場合や、くるぶし辺りまでの浸水、豪雨や暴風雨、あるいは大雪などでキャリーバッグを取り回すことができないような場合、リュックをキャリーバッグから取り出して走って逃げるようにします。

※写真は準備中です。

大型キャリーバッグに入れているもの

リュック大、小を入れ、隙間に非常食やミネラルウォーターなどを入れています。
リュックに比べると緊急性は低いものや、食料等を入れています。

キャリーバッグの底には隙間を埋めるようにラップ、500mlのミネラルウォーター、100Vの電源延長コード、そして缶入り食料などを入れています。


そしてその上から大小二つのリュックを入れています。


さらに隙間を埋めるように常温で食べられるカレーやアルファ米等を入れています。


缶入りの食料はチキン・シチューとクラッカーです。


保存期間25年の長期保存できる商品です。缶切りもついています。


クラッカーはセイエンタープライズが永谷園の協力のもとに開発した商品です。内容量は227グラム。100グラムあたり475kcalなので1缶で1078kcalあります。
サバイバルフーズ 小缶 クラッカー 227g


シチューもセイエンタープライズの商品です。一旦鍋にあけて、650ml(缶の9分目)の水を入れて煮立てる必要があるのですが、最悪水のままでも良いようです。 サバイバルフーズ 小缶 チキンシチュー 104g アレルギー成分は、乳、小麦、大豆、鶏肉、豚肉。


缶入りのパン。これがしっとりしていてなかなかおいしいのです。オレンジ味の他にホワイトチョコ&ストロベリー味もあります。5年保存。 生命のパン あんしん


これも隙間に入れているレジャーシートとクッションシート。


それをボロボロのビニール袋にいれています。


クッションシートはたぶん百均ショップで買ったもの。お尻が当たる部分だけの小型クッションですが、芝生とかに座るときには割と役に立ちます。


カートのポケットに入れているもの。この歯ブラシや髭剃り、割りばし、シャワーキャップ、髪留めなどはホテルの備品やコンビニでもらった余り物。 歯ブラシなどはリュックの中にも入れていますが、こちらにも予備で入れています。


カートのジッパーに鍵を掛けるための錠前。3連タイプなので20分もあれば全組み合わせを試して開けられてしまいます。まぁ気休め程度です。


500mlのミネラルウォーターは10年保存がきくタイプ。 麗水 延長コードは避難先でもしかすると役に立つかもとあまり考えずに入れています。ラップもひと箱そのまま入れてあります。


アベノマスクと使い古しのタオル、こうやってカメラで撮るとタオルが一層薄汚い(笑)


それをキャリーバッグのポケットに入れています。


  • 公開日:  2021/02/01
  • 最終更新日:2021/02/01
  • 投稿者:  太田垣