1878年(明治11年)名古屋博覧会

平凡社の『改訂新版 世界大百科事典』で「かばん」を引いてみると、興味深い記述があります。

(略)一八七八年、名古屋の博覧会に大阪の森田直七が出品した際の褒賞状には、かたかなでカバンと書かれてあった。
また同年、東京府勧工場に谷澤禎三が出品した飾箱の上の看板に〈鞄〉の字が使われたが、これは革包の二字を合体したもので、当時一般には革盤(かわばん)と呼んでいた。
漢字の鞄は元来なめし革・革なめし職人を指す。(以下略)

出典:『改訂新版 世界大百科事典』(平凡社)

名古屋の博覧会というと、1874年(明治7年)5月から1ヶ月ほど開催された名古屋博覧会がありますが、ここでは1878年なので少し違います。
1878年(明治11年)に、名古屋で開催された博覧会というのはおそらく、現在の大須三丁目の總見寺境内に設立された名古屋博物館のオープニングイベントとして開催された博覧会のことと思われます。
森田直七は、大阪の鞄メーカーで、関西では彼が日本で鞄を作り始めた始祖だとされています。 すなわち山縣有朋と懇意だった山城屋和助がフランスから鞄を持ち帰り、森田直七がこれを模倣して作ったというのですが、実際のところはよくわかりません。

東京大学総合図書館には「田中芳男文庫」という蔵書があり、この中に『名古屋博覽會出品目録、全賞牌授與審査薦告評語』という資料がありますので、恐らくはこの中に掲載されているのでしょう。筆者は残念ながらまだ確認する機会に恵まれていません。

また、下記書類も参照する必要がありそうです。

  • 『名古屋の博覧会』名古屋市博物館, 1982
  • 『愛知と博覧会』愛知県公文書館, 1989

  • 公開日 2013-12-09
  • 最終更新日 2013-12-09
  • 投稿者 太田垣