明治七年 府縣物産表に見る「革手提蝦蟇口」「革カバン」「ドウラン」

明治七年 府縣物産表を図書館で確認してきました。

2012年に、姫路で皮革や鞄を研究されている林久良さんの展示会に行った際、目録に府縣物産表に鞄に関する記載があるとの指摘がありました。

この資料は、国立公文書館の記述によると「三府六十県(全国)の生産品目・生産量・価格の一覧表。各地単独の調査で精粗があり、前年との比較ができず、8年以降実施されず。地方の方言等のため同品異称が多い。」との記載があります。

統計としては資料的な価値は薄い反面「カバン」という言葉の動きを知るには格好の資料です。 早速図書館で確認したところ、鞄関係で以下のような記述を見つけました。

東京府: 「革文庫」「革胴ラン」「革手提蝦蟇口」

播磨縣: 「紙文庫」

大坂 : 「革カバン」「ドウラン」「カパン金物」

京都 : 「胴乱金物」

統計表なので、数量と金額が記してあるのですが、大坂は、「革カバン」「ドウラン」を分けて記しているので、1個当たりの単価の違いがわかります。

革カパン 4540個   3776円12銭5厘

ドウラン  830個     26円56銭

革カパンは1個当たり83銭、ドウランは1個あたり3銭です。革カパンはドウランの25倍ほどの値段がします。きっと全く違うものなのでしょう。

ちなみに東京府の革胴ランは、4285個 2807円33銭4厘で、こちらは1個当たり1円50銭です。うーん、どういうことなんでしょう?安いドウランに少数の革カパンを混在して集計しているのでしょうか。

国立公文書館の指摘の通り、地域によって集計品目も集計単位もバラバラで、巻末には「報告されたが何なのかわからないもの一覧」がつけられている有様です。

この資料の示すところによれば、「カバン」という言葉は、東京よりも大阪方面でより早く用いられるようになっていたのかもしれません。もちろん、東京は政府のおひざ元ですので、「カバン」等という俗に使われている言葉では上司がわからないから、ドウランと記せ、ということになったのかもしれません。

PAGE TOP