鞄の修理に関する良くある質問

◆カバンの修理は千差万別

ひとくちに鞄の修理といっても、入手経路、破損状況、修理方法などによって数千円程度から数万円の差が出てきます。したがって、この場合はこうだ、と一口には言えませんが、一般論をいくつか書いておきます。修理をするときの参考にしてみてください。

◆メーカー純正品による修理

修理の基本中の基本は、製造メーカーで修理してもらうことです。それなりに高価なバッグであれば、普通はメーカーが修理に応じてくれるはずです。超有名なブランドバッグであればメーカー名を調べる必要もありませんが、そうでもないバッグの場合は、メーカー名がわからない場合があります。私の掲示板に寄せられる修理に関する問い合わせでも、メーカーがわからないために困っているケースが見受けられます。衣類のように生産国や製造業者、連絡先がわかるように自主的に鞄の内側等に商品タグを取り付けるように業界団体などで取り決めることはできないものかと思います。

◆メーカーだからといって修理できるとは限らない

メーカー純正品の修理で有効なのは、ファスナーや金具など、銘が入っている金具や、ブランド名が入っている布素材、革素材を使った修理です。(一般の鞄修理店では、こうした純正素材は扱えないからです。)

ただ、メーカーがわかったからといって修理ができるとは限りません。金具、革、布などの素材が入手できない場合があります。たとえば古い革の場合、現在では環境問題の関係で皮をなめす薬品が使えなかったり、革自体を生産していないケースがあります。(ここ10年くらいでヨーロッパでも多くの皮革工場の閉鎖、統合などが起こっています)

たとえ素材が存在していても、古く使い込んだ素材に部分的に真新しい革を使用するとかえって珍妙な雰囲気に仕上がってしまう場合もあります。風合いを再現してもらえるのかどうかをよく確認しておき、修理上がりのイメージに過剰な期待はしないようにしなければいけません。(ただ、お店の人も修理してみないとわからないとか、新品の商品知識は詳しくても修理の知識には乏しいというのが現実のようで、はっきりとした返事をもらえるケースはあまり無いと思います。)

また、正規販売店に修理に出した時に初めてコピー商品だとわかり、修理できないことがわかると言う場合もあります。(買った人が正規品と信じているほか、販売した人も世正規品だと騙されて仕入れている場合さえあります。)

◆鞄専門店への修理預託

鞄のメーカーがわからない場合は、まずは鞄専門店に持ち込んで尋ねてみることをオススメします。知識のある店員さんならメーカーを知っている場合がありますし、鞄屋さんが信頼している修理職人さんなどにつないでくれる場合があります。

◆街の修理屋さんでの修理

手軽なのは、街の修理屋さんでしょう。ちょっと大きな街であれば、傘、クツ、バッグなどを修理してくれて、場合によっては合鍵なんかも作っていたりするお店がショッピングモールや商店街の一角にあると思います。これも受け付けておいて、別の人が修理するという形態と、ひとりの人が傘でもクツでもなんでも器用に修理するというスタイルがあるようです。

◆簡単そうに見えて高くなる場合があるファスナー修理

修理パターンでよくあるのは、ファスナーの修理です。歯の噛みあわせがおかしくなったり、引き手のところが取れてしまったり。ところが、ファスナーの修理というのは、数千円で終わる場合もあれば、数万円かかる場合、果ては修理できないといわれるケースまであります。

これは、ファスナー自体の問題ではなく、鞄の構造と修理のクオリティに関係しています。

ファスナーを取り替える場合、ファスナーを縫い付けている部分を一旦バラさなければなりませんが、鞄によってはファスナーを取り付けている部分だけではなく、内張りの布を外す必要があったり、ショルダーストラップの縫い付け部分を外す必要があったりします。

つまり、ファスナーを取り替えるだけであっても、鞄を一旦全部ばらして、再度組み直すという気が遠くなる作業をする必要があるわけです。もちろん、そのために各部分に使われている似たような糸も必要になります。全部分解して組み直すよりも、新品を買ったほうが安く付くのはだれで想像がつくと思います。

一方で、外見さえ問題なければ、元の状態と多少違っても良いだろう、と考えることもできます。極端に言えば、内張りの上から縫い付け直したり、ファスナーの終端の処理が以前と違っていたり。分解する手間が無いなら数千円ですむかもしれないわけです。

修理を依頼する場合は、どう修理するのかしっかり確認するべきでしょう。

◆預けるときのトラブル回避

修理をお願いするときは、できるだけ修理する本人と話ができるところを選びましょう。修理というのは、修理する人が現物を見て判断しないとわからないことが多いので、受付の人にいろいろ確認してもあまり意味が無いように思います。受付の人ができます、と言っていても実際にはできなかったり、逆に「できません」と断られても、修理職人と話をすると、「似たような代用金具でいいなら修理できますよ」ということになったり。

そして、さっきのクオリティも問題があります。元のものとまったく変わらないようにして欲しいというこちらの思惑と、機能的には使えるようになりました、という修理側の感覚が衝突することもあります。ですから、修理を依頼するときには、どの程度の修理を求めているのか、あるいは相手がどの程度の修理をしようと考えているのか、できるだけ具体的に聞きだすことが必要です。

この点は、相手もこちらも説明不足というか、ボキャブラリーが足りないというか、いちばんコミュニケーションが難しいところですので、お店側でちょっとした対応マニュアルとかチェックリストなんかを用意してくれているといいかもしれません。代用品でいいのか、純正品じゃないと嫌なのか、形や雰囲気が変わっても良いのか等。

もしも不安なら、「見積もりだけで修理しないでください」と説明し、必ずその証として何らかの書類をもらうようにします。目の前で「見積もり用預かり品。修理厳禁。連絡先090-xxxxxxx」などとタグをつけてもらいましょう。

◆カビやニオイの除去

最近は、ネットオークションの普及で、ネットでの取引で、カビが生えていたり臭いのついたバッグをつかまされる場合があります。あきらかに鞄の中に香水をこぼしたから手放したと思われるもの、握り手のところがカビくさいもの、リュックのショルダー部分がワキガ臭いものなど。。 「ノークレームノーリターンでお願いします」と言われても、クレーム言いたくなります。写真からは臭いはわかりませんからね。

で、こうしたカビや匂いに関しては、良い除去方法がありません。カビは革や布の繊維の中に菌糸(?)などを伸ばして、内部組織を破壊してゆくわけですから、表面に何か付いたのとは訳が違います。

とにかくしっかりしたクリーニング店やしみぬきのお店などでできるだけ早く相談するほうが良いでしょう。