03 「鞄」は国字か?ジテン・フェチさんに訊く

恐ろしいことに、ネットにはいろいろなホームページがあって、国字だけを集め、研究しているページがある。「和製漢字の辞典」というこのページには、日本で作られた漢字が沢山掲載されれている。サイトの管理者は学者でもなんでもない単なる会社員のようなのだが、その博覧強記ぶりには脱帽である。そこで、「国字とはなにか」について、この人の掲示板でたずねてみたところ、以下のような返事をいただいた。


[907] 「鞄」は国字か? – 投稿者: おおたがき 2002年07月14日(日) 19時24分 はじめまして。私は趣味で、鞄に関するサイトを開設しております。
/今、「鞄」という言葉の起源、日本における鞄製作の発端に関して、のんびり調べておりますが、どうも、「鞄」=国字という認識が巷にあるようです。

諸橋大漢和には、「鞄」という字が載っています。ただし、これは革職人の意味で、いわゆる手提カバンの意味ではありません。明治期のどこかで誰かがこれに、現代的な意味を与えたようです。そこで今、そのどこかや誰かを調べるために、内国博覧会やパリ万博の史料などを漁っている状態なのですが、漢字に関しては漢字フェチな人に伺うのがよかろうと、書き込ませていただいております。

ご教授いただきたいのは、「国字とは中国古典に無い日本生まれの漢字のことであって、中国に無い意味が日本での読みとして付け加わったからといって国字とは言わない」という考えが正しいものなのかどうか、という点です。

実は過去(1980年)、とある有名な作家が雑誌で、「鞄という文字は古来から中国にあったが、これにカバンという意味を当てたのは文明開花期の日本であり、すなわちいわゆる国字である」という趣旨のことを書いていて、どうやら様々な雑誌がこれを孫引きしている節があり、これを端折って「鞄は国字である」等と書いてある始末です。このあたり、はっきりさせておきたいところなのです。(もちろん私は、国字でないと考える立場です)

貴、和製漢字の辞典には、「鞄」は載っていなかったので、少し喜んでいるんですが、実際のことろどうなんでしょう。

もちろん、鞄という文字そのものに関する何か情報でもあれば、大変ありがたいのですが。。


[910] 鞄 – 投稿者: ジテン・フェチ 2002年07月14日(日) 20時11分
鞄の字を作ったのは、中国人なので、漢字ですが、「かばん」という意味をつけたのは、日本人ですので、「かばん」は、「国訓」ということになります。
 漢字には、「形音義」がありますが、その全てを日本人が作り、それまでの漢字圏諸国には、どこの国にもなかった場合、国字といいます。それまでにあった漢字に新しい意味を加えた場合、意味の点からすれば、国訓といえますが、文字の点から言えば、「国訓字」といえるでしょう。


[912] 鞄2 – 投稿者: ジテン・フェチ 2002年07月14日(日) 20時39分
 テレビで「鞄」に「かばん」という訓をつけた方の子孫の方がでていたことがあります。漢字として存在するものに「訓」をつけただけで、「国字」という人が多いのは、困りものです。ただ、「鞄」については、私の知る限り、国字とした漢和辞典はないようです。
 おおたがきさんの書かれていることで、ほとんど正しいのですが、古典や中国に限らず、新しい文字(「くにがまえの中に書」とかいて図書館と読ませたのは、1925年ごろに中国人杜定友がしたことなのです)や漢字圏諸国(かつてそうであった国を含む)も含めてそうであるということなのです。


上記やりとりに関して、ジテンフェチさんより、一部追加訂正がありました。


国字などについて 投稿者:ジテンフェチ  投稿日: 5月14日(金)13時03分39秒
 テレビで「鞄」に「かばん」という訓をつけた方の子孫の方がでていたことがあります。漢字として存在するものに「訓」をつけただけで、「国字」という人が多いのは、困りものです。ただ、「鞄」については、私の知る限り、国字とした漢和辞典はないようです。
 おおたがきさんの書かれていることで、ほとんど正しいのですが、古典や中国に限らず、新しい文字(「くにがまえの中に書」とかいて図書館と読ませたのは、1925年ごろに中国人杜定仲がしたことなのです)や漢字圏諸国(かつてそうであった国を含む)も含めてそうであるということなのです。 と回答したのですが、入力ミスで中国人の名前を杜定友とすべきところを誤って杜定仲としてしまいました。改訂時に訂正しておいてください。

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