月別アーカイブ: 2016年7月

東急ハンズ心斎橋店

アジアからの外国人旅行者がいわゆる「爆買い」をしてくれるきっかけで、いろいろ街が変わってきている。外貨を落としていってくれるのだから全体としてはいいことなんだろうけど、大阪の黒門市場などはすっかり観光スポットになってしまってかつてのプロフェッショナルな魚問屋の面影は薄くなってしまった。

大阪の心斎橋から道頓堀のあたりも外国人観光客が多い。ユニクロには免税手続きコーナーがあり、ドラッグストアには英語・中国語・韓国語の商品説明がたくさん並んでいる。

で、東急ハンズ心斎橋店も例に漏れず爆買い観光客をターゲットにした品揃えをしている。この時期1Fには涼し気な扇子がならび、文具コーナーにはフリクションボールが大量に並んでいる。

私にとって嬉しいのは、鞄コーナーに日本製のものが日本製として胸を張って陳列されていることだ。日本で企画された海外製もたくさんあるけれど、日本製もきちんとある。お客さんは価値のある商品を求めて東急ハンズに来る。安いだけの商品を買いに来ない。

自己満足の高品質ではいけない。日本製のなかから海外の人の目でみて価値のあるものを選んでもらうことが大切で、その結果がつくり手にフィードバックされることを願っている。

ランドセルの通販サイトにアクセス集中した話

ランドセルの通販サイトがアクセス集中でシステムダウン。これは、今年2016年に初めて確認された現象だと思います。

まず鞄工房山本の方が6月20日にアクセス集中でダウン。続いて土屋鞄製造所のランドセルサイトが7月1日にアクセス集中でダウン。いずれもランドセル販売解禁日に起こった悲劇のようです。

いずれも実店舗があってそちらも長蛇の列のようで過熱気味。

さて、これをシステムの視点で見てみます。まず、鞄工房山本は、HTMLを見たところFuture shopというショッピングシステムを使っています。システムとしては老舗の方で手堅い印象です。

Future Shopは基本的に1サーバーに数十店舗を詰め込んで運営しているのですが、普通のサーバーが30~50店舗を詰め込んでいるのに対し、鞄工房山本のサイトが稼働しているサーバーには20店舗程度しか詰め込んでいないようでした.

Future Shopの方も多少はアクセス集中や普段の通信量の推移を見極めて運用していたように見受けられます。

また、鞄工房山本ではアクセスダウンの3日後に下記のような分析と対策を打ち出しています。

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ランドセル販売初日の6月20日のアクセス状況を解析した結果、ランドセルのご注文に直接関わらないコンテンツページなどへのアクセスが、サーバーへ少なくない負担をもたらしていたことが判明いたしました。したがいまして、Webサイトでの再販売の際には、ご注文に関わらないページへのアクセスは強制的にメンテナンスページへリダイレクトさせることで、サーバー負荷を低減させる手立てを行います。
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高級ランドセル通販の場合、高画質の重たい画像をふんだんに使うことになるので、アクセスが集中しサーバーに負荷をかけてしまうことから、この対策は短期間に行う対策としてはとても的を射た対策だったと思います。鞄工房山本のfacebookにもこの短期間での対策に評価の声が寄せられていました。

鞄工房山本が大変なのはむしろ、数千件に及ぶ電子メールです。毎日百件以上届いているというのですからこれは大変なことです。大規模なメーカーでもこれだけのメールが押し寄せると機能不全になってしまいます。

完売しているのに「サイトがつながらないのでメールでオーダーします」みたいな意思表明をされると工房もお客さんも本当に困ってしまいますね。

さて続いて、7月1日午前10時に、土屋鞄製造所のランドセルサイトがアクセス殺到でこちらもシステムがつながりにくくなっていたようです。

こちらは実は、上記の山本鞄工房の「ランドセルのご注文に直接関わらないコンテンツページなどへのアクセス」に関しては、既に対策済みだったので、さらに上のレベルの問題のようです。

土屋鞄製造所は重たい画像データをAWS(Amazon Cloud Service)のS3に設置して、あらかじめショッピング機能に問題が起きないように対策してありました。ネームサーバーもAWSのDNSを使用しているので、恐らくショッピング機能もAWSに設置して、それなりにアクセス負荷を予期したシステム設計だったはずです。

またfacebookでは6月に入ってから事前のWeb会員登録を強く勧めていました。つまりシステム処理をできるだけ受注・決済機能だけに集中させ、会員登録機能等は他の時間に分散させようとしていたと思われます。

その上でこの結果だったので、余程のアクセス集中があったのだと思われます。

土屋鞄製造所の場合、EC-CUBEというオープンソースのショッピングシステムを使用していると思われます。画像と違い受付機能は分散するわけにはいかないので、もしかしたらデータベース側のシステム性能がピーク時に若干足りなかったのかもしれません。

より大規模な商用システムの導入が手堅いのだと思いますが、ほんとうに一瞬のピークのためにシステム投資をするのももったいない話なので、なにかうまい解決法がないものかと思います。というか、行き過ぎのブームはいずれどこかに歪みがでると思います。

ブームになっていないような小さなランドセル工房できちんとした製品を作っているところはたくさんあります。その大半は売り方が下手というか、営業活動らしい活動をしていないような工房です。

そういったところを見つけて、ランドセルを買って、年に一度くらいはその工房に使っているランドセルを子供と一緒に訪問し、ランドセルを見せて職員さんと世間話でもするほうが、子供の情緒教育には良いと思います。

子供としてははじめて自分の所有物として革素材を使うわけですし、自分の使っているものがどれだけ大変な手間を経て作られているのか、どうやってお手入れするのかとかを物を通じて勉強させる良い機会になるかもしれません。

来年はどうするのかなぁ。土屋鞄製造所は高性能の商用ショッピングシステムに切り替えるのがよさそうな気がするし、鞄工房山本は店舗運営との関係を考え直す必要がありそうだし。

たとえば受注は店舗に限ってしまい、来店・購入予定者には専用のアクセスQRカードを渡す。カードを持っている人だけが専用Webサイトにアクセスできるとか。お店には長蛇の列ができるけれども、そこはもう割り切ってしまうとか。

【追記】

7月2日の夕方に、土屋鞄製造所が「速報とシステムメンテナンスに関するお詫びを出しました。一旦サイトを閉鎖して7月3日の朝に再開するようです。

曰く「今年度は2015年販売初日の8倍のアクセスを見越してクラウドサーバーを増強しWEBサイトのオープンを迎えました。しかしながら予想を大きく超えて、昨年度の20倍のアクセスと12時間で350万ページビューを頂きました。」

12時間で350万ビュー。1秒間に80ビューです。1ページに20~30個ぐらいの画像はあるでしょうから、1秒間に80*20=1600リクエスト以上の要求に応えるようなシステム構築が必要なのでしょう。

前年の8倍を予測して準備をしていたところ、実績が20倍というのは恐ろしいです。個人的には土屋鞄製造所のシステム担当者に同情します。こうなると事前にアクセス数の予測ができるような仕組み(ミニイベントの反響でピークを予測するとか)が必要になってきます。

 

消えるかもしれないので、以下にニュース記事のソースを残しておきます。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160701-00000076-zdn_n-sci

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手作りの革かばんを製造・販売する土屋鞄製造所が7月1日午前10時に来年4月分のランドセルを発売したところ、販売サイトにアクセスが殺到し、つながりづらい状態になった。検索数も激増し、「土屋鞄」がGoogleトレンドの「急上昇ワード」で「高島礼子」に次ぐ2位に入った。

ランドセル商戦は年々早まっており、職人が手作りする上質なランドセルは特に人気が高い。今年は発売日に店舗に大行列ができ、店舗での販売を打ち切るメーカーも出るほど人気が過熱している。

7月1日にWebと店舗で発売した土屋鞄のランドセルにも人気が殺到。Twitterには「土屋鞄がシステムエラーで買えない」「ネットも電話もパンクしてる」「503エラーとの闘いを制して買えた」などの報告があり、“争奪戦”の様子が伝わってくる。

土屋鞄の実店舗に行列ができていると報告しているユーザーも。同社のサポート電話番号に電話しても「たいへん混み合っているためかかりにくくなっています」とアナウンスが流れる状態だ。

●「数時間待ち」の行列のメーカー、店舗販売を断念

「これ以上の店舗でのランドセル販売は極めて難しいとの判断をいたしました」――6月20日に来年4月分のランドセルをWebと店舗で発売した鞄工房山本は23日、こんな告知をWebサイトに出した。23日から当面の間、奈良本店、銀座店、表参道店の全店を臨時休業し、Web販売に絞るという内容だ。

20日に発売したところ、Webはつながりにくい状態に。店舗は早い時刻から行列ができ、注文完了までに「数時間に及ぶ待ち時間が発生した」という。年配や妊婦の客に「非常に辛い時間を過ごさせてしまうこととなり、体調を崩される方もおられ、一時的に別室でお休みいただくことがあったほど」という。

また、開店直後から深夜まで店内に顧客が待機。「万が一火災が発生すれば、全員の避難がかなわない事態になることも十分に考え得る」とし、防災上の観点からも、店舗運営は「大変危険」と判断したという。

来年4月用の在庫は、Webサイトで1時間ずつ時刻をずらしながら、1モデルずつ順番に販売するという手法を採った。同社への問い合わせメールは1日に100件以上、「累計数千件」届いており、「対応は一ヶ月先になる可能性がある」と告知している。