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カパンとカバン

古い資料には「カパン」という表記が時々あって、どういうことなんだろうと疑問に思っていたのですが、ここにきてちょっと面白い資料をみつけました。

書名  世界道中かばんの塵
著者  田中一貞
出版年 1915年(大正4年)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/955036/

この本は、第一次世界大戦の直前に、ハルピンからモスクワ、ベルリンを通ってイギリスに渡り、ニューヨークからロサンゼルス、ハワイ経由で日本に戻ってきた人の旅行記です。時まさに第一次世界大戦が勃発したタイミングです。世間は海外のリアルな情報を知りたがっていて、それに応えたものだったのでしょう。

さて、私の関心は、この本の中のカバンという文字の使い方に向いています。この本が極めてユニークなのは、表紙には、平仮名で「世界道中 かばんの塵」と書いてあるのですが、次のページの本編に入る前の序言のようなところには達筆の筆書きでカタカナで「カパン」と書いてあるのです。一人の著者がひとつの本の中に「カパン」と「かばん」を併記している例を見たのはこれが初めてです。

私はどこか外国から「カパン」という発音に近い形で日本に入ってきて、それがやがて「かばん」に落ち着き、定着したのではないかと思っていたのですが、そもそもこの仮説は大きな勘違いで、実際はそうではないのかもしれないと思ったのです。

「カパン」と「かばん」が一人の人間によって同じ表記とみなされていたとするならば、「カパン」と「かばん」を区別せずに取り扱う必要があるのかもしれないのです。

カタカナの方が実発音に近くて、平仮名ではまだ半濁点を使う風習がなかったのでしょうか。もしくは、日本人がLとRの音を使い分けたり聞き分けたりするのが苦手なように、昔の人は、バビブベボとパピプペポの使い分けに無頓着(というより使い分けできない)だったのかもしれません。戦後であってもプロマイドとブロマイドを混在する人が多数いましたし。

当時の濁音・半濁音の取り扱いをきちんと押さえていないと、大きな間違いを犯しかねません。

これはきっと国語学とか音韻学とかそういう領域の話なんでしょう。もしかしたらその分野では当たり前の話なのかもしれませんが、当時の人が、どのような発音を聞いて「カパン」や「かばん」と記したのか、「カパン」や「かばん」という表記を実際に何と呼んでいたのか、大変興味のあるところです。

とにかく、いままでは初期の文献で「カパン」と「カバン」を分けて扱うべきではないかと思っていたのですが、そうでもないのだと思い始めました。

革についた雨染みを消す実験

くも舎の代表石原てつやさんの「革についた雨染みを消す実験」というのが面白いです。

http://kumosha.com/%E9%9D%A9%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%9F%E9%9B%A8%E6%9F%93%E3%81%BF%E3%82%92%E6%B6%88%E3%81%99%E5%AE%9F%E9%A8%93%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82/

栃木レザーのヌメ革を使ったバッグを、アニリンカーフクリームで手入れした後、雨の新宿をふつうにうろうろして帰ってきたときにできた雨染みをどうやったら消せるか、という実験です。

この方法は、まぁ自己責任ということになるのですが、面白いですね。

余談ですが、代表の石原さんはグラフィックデザインの腕があるので、サイトのセンスもすっきりして大変見やすいです。WordpressにImbalance2というテーマを使っているようで、見飽きないサイトに仕上げています。