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表参道Real Bespoke展に行ってきました

出張の合間を縫って、表参道Real Bespoke展に行ってきました。眼福のひとときでした。
http://realbespoke.info/

場所は表参道の出口の階段をあがって本当に目の前の建物でした。でもギャラリーの名前が、ロシアのキリル文字で書かれていたので、一瞬迷ってしまいました。

ギャラリーは学校の教室ぐらいの広さでしょうか。壁際の机にはいくつかの靴やカバンが置かれ、数体のマネキンには、コートや背広がかかっています。その上に持ち主のパネルがあり、それぞれ持ち主さんから一言添えられています。万年筆画家の古山さんのコメントもありました。古山さんの鞄の実物を拝見したのもはじめてです。倉持さんは羊屋さんで背広を仕立てたようで、感激のコメントを寄せておられました。

そんなことよりなにより、作っている本人がその場に居られるというのに感激です。
Fugeeの藤井さんに金原さん、今回初めてお会いした羊屋の中野さん、名前は忘れましたがHIRO YANAGIMACHIの靴職人さん。

説明なんかは聞いたって大してわからないのでどうでもいいんです。作ったことが無いので、本当の大変さや工夫のすごさは結局わからないんですから。(笑)

でも、目の前にいる人の、その手から、目の前にあるすんごい鞄や靴や背広が生み出されるんだと思うと、ほんとうにわくわくします。私にとってのリアル・ビスポークです。

ビスポークのリアルということで、カバンの持ち手を分解した物や、ダレスバッグを大体に真っ二つに割った物なんかは、なかなか見られるものではありません。靴の木型を実際に手に持ってみたのも初めての経験ですし、背広の型紙を見る機会もなかなかありません。(いくつかのものは、実際に触れるんです)

個人的な白眉は、コーディネートゾーンでした。3体のマネキンが3様の服を着て、各マネキンの横の机には、その服に合わせた靴やカバンが置いてあるという趣向です。

これらはそれぞれの工房が知恵を寄せ合ってコーディネートしたもので、誰のオーダーでもないものです。工房の側からすると普段はなかなかオーダーを受ける機会が無いようなちょっと変わったコートやリゾート用の白いジャケットやら、これまたオーダーがなさそうな製図用の超薄マチで大型のブリーフケースやらと、面白いものがありました。

ビスポークの現在ということで、実際にオーダーした人の私物がいくつか展示されていました。先の古山さんや倉持さんもその中のひとりなのですが、中には背広、靴、鞄の3つとも持っておられるビスポークの三冠王のような人の私物も展示されていました。

こういうのを見ていると、眼福というより、目の毒です。好きな背広を見立ててもらって、それを着て靴屋さんで「これに合う靴を考えて」って言ってみたいです。重さを感じさせないスーツや足と一体化したような靴を履き、コーディネートされた鞄を持ち歩けば、もしかして私も仕事が10倍くらいできるようになるかも…。なんて考え始めてしまうと、やっぱり欲しくなってしまいます。物欲が高まる前に展示会場から退散です。

 

で、会場からそそくさと撤退して思うのは、この職人のみなさんは、いずれも背広の着心地、靴の履き心地そして鞄をどう使うつもりなのかとか、そういうものすごく伝えづらいものを、しっかり受け取って形にする能力に長けた人々なんだろうということです。

そこには、実はものすごくレベルの高いコミュニケーション能力が要求されているわけで、だから会話をしていても、みなさんほんとうに腰が低くやわらかで、障りがなく、すっと会話に入ってゆけるのかなぁと思ったり。

興味のある人は早めにゆくべし!です。