月別アーカイブ: 2013年12月

年末大掃除

普段なかなかできないデッドリンクの大掃除をやってみました。とはいってもさすがに全部はできないので、楽天市場出店ショップだけ整理しました。

ショップが10年以上続いているところもあれば、販売主体がカバン以外になっているところもありました。あるいは倒産したのか母体の会社のドメインも消えてなくなっているところもあり、さらに楽天からは退店しているものの、独自ドメインで繁盛しているものなどいろいろでした。

トータルでいうと20サイト以上は削除したかなぁ。
もちろん新店もたくさんあるので追加しないといけないのだけど、それはまた他の機会に…。

かぎや五兵衛謹製の伊丹町役場公会堂竣工記念品

少し前に、古い鞄の蒐集家で、皮革製造工程にも詳しい、姫路在住の林久良さんから、面白いコピーの資料が送られてきました。

手提げかばんの写真が一つと、「大阪淀屋橋・かぎや五兵衛謹製」と書かれた箱書きのコピー。その箱を包んでいたと思われる「のし」には「公会堂竣工記念・伊丹町役場」と書かれています。

林さんの相談は、この鞄の製造年代を特定したい、というお話。

一番重要な手掛かりは「公会堂竣工記念・伊丹町役場」。伊丹町役場の公会堂が竣工した年がわかれば一発です。早速伊丹市立図書館で調べたところ、1915年(大正5年)に、川辺郡公会堂が伊丹の中心部に竣工していたことがわかりました。

伊丹市史を読むと「郡公会堂は、明治四十四年に伊丹町から土地および建設費の大部分の寄付を受けて、伊丹字古城に設置され(現在伊丹保育所)、郡制廃止に伴って、伊丹町に無償下付することになっていたものである。」(伊丹市史3巻P439)とありました。

当時はまだ、郡制がひかれており伊丹市は無く「川辺郡伊丹町」が存在しており、「川辺郡公会堂」として設立された
のです。

ただ、土地や予算はほとんど伊丹町から出ていたので、町役場としては初めから自分たちの物という意識があったようです。

そういう目で見れば、たしかに「公会堂竣工記念・伊丹町役場」という表現はとてもよく配慮されていて、どこの何の公会堂なのかをぼやかして表現しています。
恐らくはワザと曖昧に書いたのでしょう。

ちなみにこの公会堂の場所ですが、市史では現在伊丹保育所と書いてありましたが、その保育所も既に昭和50年代に移転したようで正しい場所は定かではありません。

伊丹市立図書館で探していただいた伊丹町時代の古い地図を重ねてみると、公会堂はおそらく阪急伊丹駅の南側にある市の自転車置き場か、その南にあるモータープールのあたりにあったようです。

さて、ここまででこの鞄が1915年(大正5年)頃の物だということがわかりました。

では、「大阪淀屋橋・かぎや五兵衛」とはどんなお店だったのでしょうか?

早速、国会図書館のサイトで「かぎや五兵衛」を調べてみると、幸いにも大阪市立中央図書館にそれっぽい図版が1枚蒐集されていることがわかりました。

職場から近いので、会社からの帰りに大阪市立中央図書館に立ち寄ってちょっと調べてみたところ、いくつかのことがわかりました。

まず、「かぎや五兵衛」は、当時既に創業三百年を誇る老舗だったようです。
場所は、現在の御堂筋淀屋橋南詰。

下記ページに大正時代の「かぎや五兵衛」の写真が載っています。(長大なページですが、真ん中より少し下あたりです)
かぎやの煙草入れは、有名で諸国への土産物だったようです。
http://www2.mmc.atomi.ac.jp/web01/Flower%20Information%20by%20Vps/aa10-01/n152.html

大阪市立中央図書館に所蔵されていたのは「かぎやの袋物」という、このお店のカタログでした。
資料には出版時期が書いてありませんが、図書館の書誌情報では1935年頃となっています。

たしかに、この資料には「大阪淀屋橋地下鉄鐵停留所前」とありますから、御堂筋が拡幅され、地下鉄が開通した後の資料だということがわかります。
そして、この資料の中に幸運にも「籐網代新聞紙入」というトレイが紹介されており、そこに大阪毎日新聞が載っているのです。
新聞には、「オッタワで四大公使会同」「現地に立脚し… 我外交方針…」という見出しが読み取れます。
この新聞記事を調べてみると、大阪毎日新聞の1935年(昭和10年)7月15日の記事であることがわかります。

http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=10049053&TYPE=HTML_FILE&POS=1

つまり、このカタログは書誌情報のとおり1935年(昭和10年)頃に制作されたものだとわかります。
カタログには淀屋橋越しに大阪市庁が誇らしげに建っている写真が掲載されており、当時の隆盛を感じさせます。

残念ながら、カタログの中には、公会堂竣工記念用に制作されたものと同じような型は見当たりませんでしたが、新築、竣工、開業、創立等の記念品制作などにも力を入れていたようです。

さて今回の件は、「伊丹町役場が大正5年に公会堂の竣工記念として、煙草入れや袋物で有名なかぎや五兵衛に鞄を発注した」というのが真相でした。
それにしても竣工記念に鞄を制作し、箱に入れて配るとは、なかなか景気が良い話です。

当時伊丹には、酒造で有名な小西家という豪商がおり、明治中期よりランプの口金工場や皮革工場、鉄道事業等を推進していました。
推測になりますが、恐らくこの公会堂についても相当の資金を提供していたのではないかと思われます。

伊丹町役場が大正5年に公会堂の竣工記念として、煙草入れや袋物で有名な「かぎや五兵衛」に発注した鞄と思われる。

伊丹町役場が大正5年に公会堂の竣工記念として、煙草入れや袋物で有名な「かぎや五兵衛」に発注した鞄と思われる。

明治18年の「武具カハン」とは

明治18年に出版された「浪華商工技芸名所智掾」という、
大阪の企業案内カタログの11ページ目に面白い記述を見つけました。

—————
西洋馬具
並ニ和馬具
武具カハン
製造商

東區内本町
壱丁目
一番地
川嵜文藏
—————

「武具カハン」とは何でしょう。脚絆(きゃはん)のなまったものでしょうか?
それとも「カバン」のことでしょうか?

店舗のイラストもあるのですが、鞍らしきものは描かれていますが、カバンのようなものは見当たりません。

浪華商工技芸名所智掾 : 商用手引
亀岡佐七郎 編 亀岡佐七郎 1885
国立国会図書館と大阪市立中央図書館に保管されています。
下記からデジタルデータで閲覧できます。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/803734/11

 

【本】ハンドバッグの日めくりカレンダー2014

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毎年出版されるハンドバッグの日めくりカレンダー、2014年版です。Workman Publishing Companyという出版社が手がける、日めくりカレンダーのシリーズは、犬、猫といったオーソドックスなものから、 ベースボールのトリビアや、マーフィーの法則のような警句集、聖書の言葉といったものなどがあります。ハンドバッグに近いものとしてはクツがあります。書籍の性質上、前年のものは販売していないので、プレミアがついたりしています。以下に、過去のものをずらっと並べてみましょう。

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皮革賣買慣習取調報告(明治34年)

一橋大学機関リポジトリ(HERMES-IR)に、初めて目にする資料を発見。

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明治三拾四年
皮革賣買慣習取調報告
本科三年生
稲村修三
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http://jairo.nii.ac.jp/0032/00005447

http://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/da/bitstream/123456789/6170/1/azn0018001.pdf

この報告書は、一橋大学の前身である高等商業学校に在籍していた優秀な生徒に、夏季休暇中に旅費などを与えて各地の商工業の様子をレポートさせるというもので当時「修学旅行」と呼んでいたようだ。
詳しくは論文「東京高商の修学旅行とその報告書」(杉 岳志 2013/3)を参照されたい。

中身はというと、若者が独力で調査したにしてはかなり詳しいもので、当時の皮革の輸入状況等を伺うことができる。毛筆縦書きで、読みにくいので解読するだけでも骨が折れますが…。