月別アーカイブ: 2012年9月

姫路皮革物語 歴史と文化 ~林コレクション~

札幌の鞄工房、日下公司の日下さんから「姫路で面白い展示会をやっているので時間があれば行ってみてください」とメッセージをいただき、早速行ってきました。

姫路市書写の里・美術工芸館で行われている「姫路皮革物語 歴史と文化 ~林コレクション~」という特別展示で、林久良さんという皮革文化の研究をされている方の貴重なコレクション約250点を展示しているものでした。

http://www.city.himeji.lg.jp/kougei/04kikaku-tenji/120908hikaku.html

場所はJR姫路駅からバスで30分程度。書写山ロープウェイのふもとにある市営の美術館です。

あと2週間、10月14日(日)までの開催ですので、古い鞄に興味のある方はお見逃しなきよう。

 

 

 

 

江戸期の胴籃(どうらん)や、手籃、提籃(さげらん)等をはじめとして、昭和20年代のランドセル、姫路が得意としていた文庫(書状入れ)等、大量の歴史的資料が並んでいました。

これを見て確信したのは、「かばん」という言葉の有無に関係なく、鞄を制作する基礎技術は江戸期からすべて日本にあったのだろうということです。

 

提籃は、今のパイロットケースのような形をしているし、三徳腰提げは今でいうショルダーバッグ。これもちゃんと近代的な錠前を備えていました。

文庫は今でいうとレタートレーのようなものでしょう。社長の机の上において決裁済・未決済書類を入れておくアレです。展示されていた文庫には蓋があってこれに精巧な意匠を施してありました。

文庫の中には、役人箱とか御用箱等侍の事務方が使うものもあり、周囲を帯で巻き精巧な金具で鍵を掛けることができるものもありました。

胴籃などはハンドバッグやクラッチバッグの類ですがが、がま口型のものも、カブセ型のものもありました。

 

つまり「かばん」という言葉は無くても、これはすでに「鞄」であり、あとは西洋風に洋服にあわせるのか、和服にあわせるのかぐらいのもので、西洋から鞄というものが入ってきたときに、 これをまねて作るのに、技術的には何の問題もなかったのだろうと推測します。

だとすると、あとはやはり誰がいつ何故「かばん」という言葉を使い始めたのかということが気にかかりますが、これについても収穫がありました。

展示物も面白かったのですが、林久良さんは「明治七年 府縣物産表」という明治政府の内務省勧業寮が作成した統計資料に着目していました。この資料の存在は知りませんでした。

(「明治七年 府縣物産表」の位置づけについては、下記論文が詳しい) http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/30974/1/1_P23-58.pdf

この統計資料、各地の特産品を挙げているのですが、林久良さんの調査によれば、東京府には「革文庫」「革胴ラン」「革手提蝦蟇口」の記述、播磨縣の欄には「紙文庫」、大阪は「革カバン」「ドウラン」の文字が見えるとのことです。

明治七年 府縣物産表に「カバン」の文字があるなら、これはかなり初出に近い表記に感じます。

  • 明治06(1973)年のウィーン万博に、「カバン」の文字あり。(竹網代万筋 竹千筋 竹上千筋 兵庫縣丹石田持帰ノ口)
  • 明治11(1876)年のパリ万国博覧会に、「姫路革カパン」の文字あり。「姫路革カパン、文庫 浦上卯七郎」
  • 明治13(1880)年の宮城県博覧会では、「カバン」の文字あり。
  • 明治14(1881)年の第二回内国勧業博覧会で、「革包カバン」の表記有り。

※明治10(1877)年の内国勧業博覧会にも、「カバン」の文字があるようですが、まだ確認できていません。

もし明治7年の統計をとる段階で大阪近辺にすでにカバンという言葉が広がっていたと考えるなら、言葉の起源は関東ではなく関西にあったようにも感じます。

 

雑談 いまさらながらにオリンピックとか

気が付いたら8月は全く更新していませんでした。書きかけのエントリが2つばかりあったのですが、続きが書けず放置状態です。

さて、9月になり、そろそろ世間でオリンピック熱も冷めてきたころだと思います。

今回のTVのオリンピック中継の記憶といえば、多チャンネル化、生中継化が進んだため、TV番組表や地デジのデジタル番組表もあてにならず、終始「面白い競技やっていないかなぁ」とチャンネルをザッピングしていたことです。

こういう場合、どこかの局で今どのチャンネルを見れば一番楽しいかを案内するスタジオ番組を延々やってくれたらよかったように思います。高い放映権なんか買わずに、あ、「いまからBSで見どころが始まりますよ。BS無い方はフジ系列がいいかなぁ」なんてやってくれると、ポータル機能を果たしてくれてよかったように思います。NHKの地デジデータ放送は、NHKの中での放送予定等をやっていてわかりやすかったのですが、あれの全体版があるとよかったように思います。

そういえば、なんとなくTVに映った競技で「この競技、どうなったら勝ちなの?これって何点で勝ち?今のはなんで10点なの?」とわからないものがたくさんありました。「ポータル局」を見れば、それがぱっとわかるような仕組みになっているとよかったんじゃないかと思います。

あと、どうしても日本選手の活躍をフィーチャーしてしまいますが、トップクラスの感動的な演技や競技をしっかり見せてくれる番組がもっとあってもよかったように思います。メダルに向けて頑張る日本選手の姿を見せてくれるのはよいのですが、まだまだ世界レベルに達しない競技も多いわけで、感動的な世界レベルの競技を見たいなぁと思います。体操などは、1位だからよいのではなく、下位でも感動的なもの、美しいものなどがあったと思います。

三段跳び、高飛込み、ボート競技のエイト、トランポリン、自転車のBMXやマウンテンバイク、カヌー等…。きっとBSとかでやっていたのだと思いますが、きちんと編集して番組として見せてほしい気がしました。