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【本】大人の鞄カタログ real design特別編集

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ここ数年鞄、革関係のムック本に力を入れている枻エイ出版社のエイムックシリーズ。単なるカタログ的な情報だけではなく、その裏側の企画、製作者の思いを載せる一方、使う側の視線も忘れてはいない、編集スタッフさんのバランス感覚が伝わってくる。2010年のメンズ鞄のカタログ本としてはおそらく最高レベルの情報量だと思われる。「2大ブランドの真髄」という企画は2つの違う個性のメーカー鞄を対比させて解説する企画。

ゼロハリとリモワ、ダニエルボブとオロビアンコあたりはまぁ、よくあるというか、そうだよなぁという組み合わせだが、TUMIとBRIEFINGとか、ソメスサドルと万双といった組み合わせは意外だった。価格帯や利用者層、鞄の雰囲気などが似ているものを突き合わせると、こういう対比もありなんだろうなぁと思ってしまう組み合わせで新鮮。

今回のメイン特集はなんといっても30ページにわたるブリーフケースの特集。写真はすべて正面、側面、底面の3面図構成に、口を開けて上から内部をとらえた写真までついている。この企画にかかわらず、この本のほぼすべてのビジネスバッグはこの構成が守られている。鞄を選ぶには一番わかりやすい構成である。

チョイスされている商品を見ると、モンブランやゼニアといった海外勢もあれば、新喜皮革のwarmthcraftsやイケテイのフジタカ、エースのultimaTOKYOのような結構シブい選択もあって面白い。数万円の価格帯で鞄選びを考えている人には本当に良い道案内になるのではないだろうか。

今回、興味深く読んだ記事の一つが、大峡製鞄の工房紹介。意外と質素で普通な中小企業の事務所のような工房、畳に座って鞄を縫う姿は日本独特の進化系を思わせる。大峡製鞄の鞄の写真は、どれも鞄の側面の微妙な張りをきれいにとらえていて、三面図であるのに柔らかさを感じる。

後半はカジュアルバッグ。こちらもビジネスで使えそうなものは三面図+1での表現で、後半になると、立体写真1枚+1での表現になってくる。並べ順に価格は一切考慮されず、おそらくデザインや色目での配列となっている。13万円のボディバッグの隣に1万円のものが並んでいたりして、一体値段ってなんだろうと思う瞬間がある。

目を惹いたのは、マスターピースと山口幸一がコラボしたデイパックやマンハッタンポーテージのターポリンを使ったバッグ。トートバッグは素材がバラエティに富んでいて、すでに何が王道なのかわからない分野である。女性のハンドバッグが機能性よりファッション性に重心が移っているように、メンズの場合はそれがトートバッグの分野で起こりはじめているようにも感じる。

惜しむらくは2Way、3Wayバッグの紹介が少なかったこと。やっぱ黒っぽい紙面になってしまうから面白くないのかな。

カジュアルバッグの代表選手として工房紹介されているのはマスターピース。大阪、生野の生産拠点が紹介されている。熟練者から若者まで一緒になって働く姿は写真を見ていて美しい。

トップクリエイターの愛用鞄のページは、鞄と持ち物紹介というよくある企画だが、私にはあまり興味なし。それにしても思いのほか「紙類」を持ち歩かないのだなぁと感じる。

そのあと、ボストンバッグ、スーツケースと続き、最後の企画が「人気スタイリストが提案 いま、選びたいON鞄、OFF鞄」。なんとなく身内で固めたような人選だが、無理に商品紹介にもってゆかなくても、その人の鞄にまつわる想いとか思いでのようなものを載せてくれてもよかったのになぁと思う。ちょうどBegin 2010/09月号が、SHOPスタッフ抜き打ちシリーズとして、今愛用している鞄を見せてください、という企画をやっていた。ここまで下世話にしなくてもいいけど、使っている側の鞄に対する思い入れとか鞄を選ぶ側の心がまえがつたわるような企画になっていればよかったように感じた。

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