鞄をオーダーするときに気をつけること(その4)

◆今使っている鞄や持ち運ぶ荷物、そのときの服装を実際に見せる

機能面からの不満が嵩じて鞄をオーダーしようと思う人も多いと思います。このポケットがもう少し広ければ、文庫本が入って便利なのにとか、デザインはいいけどショルダー部分がすぐに取れてしまうので何とかしたいといった類です。

一番いいのは、その不満を抱いている状態そのままで鞄屋さんに行くことです。これはオーダーメイドで無くても有効な手段です。たとえばスーツを着たサラリーマンが使うブリーフケースを考えているのであれば、鞄屋さんにはスーツ姿で行くのです。時計もいつもと同じものをはめます。鞄も同じ中身を詰め込みます。

たまの休日にスーツを着てゆくのもどうかと思うでしょうが、実際やってみると、ものすごく説明しやすくて職人さんの理解も進みます。

たとえば今、あなたがショルダーバッグのオーダーを考えているとします。そして、バッグのポケットから万年筆とメモ帳をいつでも取り出せるしたいという要望があるとしましょう。注意深い鞄職人としては、オーダーの主はショルダーバッグを左右どちらの肩に掛けることが多いのか、右利きか左利きかを是非確かめておきたいところです。それによってポケットの開き方、ペンホルダーの位置、ペンホルダーの太さなどについて的確な方針が固まるからです。右利きで右肩に鞄を掛ける人にとって使い勝手の良いポケットの位置は、左利きで右肩に掛ける人と恐らく変わってくるはずです。

そんなとき、実物があれば打ち合わせ時間は短縮され、職人さんはより多くの時間を提案やアイデア出しに使うことが出来ます。

普段どの程度の重さの荷物を入れて持ち歩いているのかを鞄職人が理解するのも重要です。今使っている鞄のどこが痛んでいるかを把握することにより、どのような鞄にすべきかアドバイスすることができるのです。

こうしたアドバイスは機能面だけにとどまりません。センスがあり革を熟知している職人さんならば、着ているものとのコーディネートにも多少配慮してくれるでしょう。使う側としては雑誌等によく出てくる白ヌメ革やボライドルレザーなどで一度は作ってみたいものです。金具を真鍮にするのかシルバーにするのか等も悩みどころですし、革を縫い合わせる糸の色などもバリエーションがたくさんあって大変です。

でもそれに合う服装や持ち物というものもあるわけで、もしかしたら知らない革で、ものすごく似合うものがあって、それがストックしてあるかもしれません。腕時計のベルトや文字盤は金ですか黒ですかシルバーですか?いつも使う万年筆は黒ですか?エンジですか?

百聞は一見にしかず。今使っている鞄や持ち運ぶ荷物、そのときの服装を実際に見せるというのはとても有効な手段です。