鞄をオーダーするときに気をつけること(その3)

最初はセミオーダーからはじめる

一番リスクの少ない鞄のオーダーは、やはりセミオーダーです。フルオーダーはやっていないがセミオーダーは可能という工房も多いので選択肢が広がります。また、セミオーダーの場合は、工房が提示する選択肢に答えてゆけば、相応のものが出来上がってくるので、楽です。

さて、セミオーダーに何を求めるかということですが、女性の場合は(と、決めてかかってはいけないのですが)エルメス等の意匠を真似た(というかほとんどコピーした)バッグを求める場合があります。本物は高くて手が出ないし、かといってニセモノを買うのもイヤ、ということでセミオーダーで安く似たものを作るという考えがあります。ただまぁ、セミオーダーに代用品としての価値しか感じないのは、少々さびしいことです。

セミオーダーにカスタマイズの多様性を求めるのであれば、お店のセンスではなく、いかにオーソドックスな型が数多く揃っているか等が重要になります。一方、お店のセンスや鞄のデザインが気に入っている場合は、オリジナル品がたくさんあり、そのお店の特徴をしっかり把握することが重要になります。

そこで、セミオーダーを考える場合は、そのお店のセミオーダーに対する方向性をチェックしましょう。 カスタマイズの多様性なのか個性やセンスを前面に出したものなのかを確認し、自分が求める方向性と合致しているかどうか確かめておきます。

一般的に、カスタマイズの多様性を確保する場合、素材等を1種類(たとえば白ヌメ革、多脂牛、帆布だけ等)あるいは数種類に絞り込んで、多様なバリエーションを可能にしているケースがあります。

お店のセンスや鞄のデザインについてもう少し書いておきます。たとえば革のブリーフケース等を買おうと真剣に調べ始めると、ブランドや工房によって作り出す鞄のシルエットや曲線、角の具合が微妙に違うことがわかってくるはずです。車に例えるならポルシェにはポルシェのラインや色気があって、ジャガーにはジャガーっぽいラインがあるように、鞄にもデザイナーの意志が色濃く反映しているモデルがあります。

そして、職人さんに話をきくと、その優美なラインを生み出しているのが手間のかかる作り方や手縫いでなければできないものだとわかったりします。

 ただ、職人さんが作りたいものと実際に売れるものは微妙に違っていたりするので、意識的に抑制している場合もあります。そこで、デザイン等が気に入ってセミオーダーをしようと思う場合は、その工房が得意なデザインや特徴を感じ取ることが重要です。会話ができるなら、「一番気に入っている鞄はどれですか?」「貴方のデザインカラーがよくわかる鞄はどれですか?」といった質問をしてみてもいいでしょう。そうすることで方向性がよりはっきりと見えてくる場合があります。

さて、セミオーダーをするときの注意点ですが、とにかく選択肢として何が可能なのかをしっかり確認することです。工房のほうは当然選択肢を知り尽くしているので、初めての人でも言わなくてもわかっているような感覚になるのでしょう。選択肢に対する説明があっさりとしている場合があります。恐る恐る「こんな変更できますか?」と聞くと、あっさりと「ええ、できますよ」という返事が返ってきたりします。ホームページには載っていても「その金具、もう在庫がなくなってしまったので取り寄せるとしたら2か月かかる」「その革はもう入荷しない」というような場合もあれば、「実はこういう革が入ったので、その型で作ってみようかと思っておたところなんだけど、どうですか?」という場合もあります。

したがって、注文可能かどうかはフルオーダー並みに確認し、ダメならダメでひっこめる、というやり方が良いように思います。