鞄をオーダーするときに気をつけること(その2)

革の厚みを考慮してポケットなどのガジェット過多に注意する

革の鞄をフルオーダーするときに一番犯しやすい失敗がこれです。柱の厚みを考えずに家を設計するようなものです。日ごろナイロンをはじめとする化学繊維等に囲まれていると、薄くても丈夫なのが当たり前になってしまいますが、革の場合は部位によって相応の厚さを必要とします。革の性質によっては薄く出来ないものやしなやかに曲がらないもの、逆に板のように硬くはならないものなどがあります。(布素材の場合でももちろん厚みの考慮は必要ですが、革よりは制約が少ないと思います)

フルオーダーの醍醐味と言えば、やはり手帳や携帯電話、iPod等様々なビジネスツールを間仕切りの中にぴったりと収めたいという欲求に応えてくれるところにあると思いますが、上等な革をそれなりの厚みで鞄の中を細かく仕切ると、意外と不細工になってしまうものです。オマケに鞄の自重がかなり重たくなってしまいます。

◆今使っている鞄の重さをはかったことがありますか?

オーダーするときには、今使っている鞄よりどの程度重たくなるのかを考えて、鞄職人さんと相談してみましょう。たとえば鞄の自重が1.7キロで、荷物の重さが2.5キロの場合、合計4.2キロの荷物を持ち歩くことになります。このとき鞄が1.7キロから2.5キロになった場合、合計5.0キロの重さになります。さあ、これから毎日5キロの荷物を持ち歩ける体力があるかどうかは、鞄職人さんにはわかりません。もし、重たくなるのを避けたいのであれば、今の鞄と同じ重さを目標にして、300グラム程度の増加を許容範囲とすべきでしょう。

◆解決策は鞄職人さんに相談しながら探ってゆこう

多くの場合、鞄職人さんと一緒になって、いろいろ解決策、妥協策を探ることになります。革のポケットをやめて布やゴムを使って代用する場合や、ポケットではなくベルトやスリット、間仕切り等をうまく使う場合などが出てきます。こういうときにいかにエレガントな代案を出せるか、というのも鞄職人さんの想像力や経験、勉強量によって変わってきます。さらに、一応の解決策があったとしても、デザインがエレガントではない場合や、メンテナンス上問題があったり、構造上丈夫ではなくなる場合などがあります。

職人さんの提案には、こうした構造上の考慮や懸念も含まれている場合があります。「言う通りにしてみてもいいけど、これじゃ数年経つとすぐにココの修理が必要になるよ」というような本音をどこまで出してくれるかにもよりますが、説明してくれる場合はしっかり聞いておいたほうがいいでしょう。

それでも職人さんの提案に納得行かない場合は、無理にオーダーを進めずに、いろんな市販の鞄の構造を見て研究してみるといいでしょう。