How

目的をはっきりさせずにビジネス鞄を買いにゆくと損をする

  • 公開日
  • 最終更新日
  • 投稿者太田垣

鞄業界とは関係ない仕事をしているのに、japanbag.comなどというサイトを長年運用していると、時々鞄を選んでほしいという相談が来ることがあります。そもそも自分自身だって満足いく鞄をきちんと探せないのだし、鞄を選ぶ理由なんて十人十色なので、他人の鞄を選べるわけがありません。

でも、鞄を選んでほしいという相談をする人と話をする中で、いくつかわかってきたことがあるので、それを文章にまとめてみるのも面白いかなぁと思い、書いています。たぶん本当にカバンが好きな人とか、鞄業界の人から見れば邪道だったり、鞄に対する冒とくだったりするかもしれないのですが、そのあたりは多めに見てやってくださいまし。

さて、鞄を探している人に話を聞いてゆくと、だいたい二通りに分かれます。

ひとつは、今の鞄が古臭くなったので、なんとなく新しいのが欲しいなぁというパターン。もうひとつは、入れるものがしっかり決まっていて、それに合う鞄が見つからないと不満を述べているパターン。

なんとなく新しいのが欲しいなぁというパターンの人には、目的をはっきりさせないと、本当に欲しい鞄が何かが決まらないよ、とアドバイスします。

この「なんとなく新しいのが欲しいなぁ」っていうのが曲者で、「なんとなく大学出ておきたいなぁ」とか、「なんとなくおなかがすいたなぁ」というのと似たような曖昧な欲求で、そのまま買い物に出かけてしまうと(たぶん)失敗してしまいます。特にファッションの一部として買う場合はまだ救いがありますが、実用性を求めるビジネスバッグに「なんとなく」を持ち込むと、良くありません。結果として損をしてしまうと思います。

ここはひとつ、買い物に出かける前に頭を整理してから出かけてほしいものです。少なくとも、以下の5つは、店員に聞かれたときに迷わず答えるようになっておきたいものです。

  • 中に入れるものを考える
  • どこからどこに移動する時に使うのかを考える
  • どのような服装と合わせるのかを考える
  • 移動中ないし移動後にどのようなものの出し入れをするかを考える
  • 予算、使用頻度、使用期間、補修のことを考える
  • 今使っている鞄の大きさや使い勝手

どのようなブランドなのか、どのような素材なのか、どんな職人が作っているのかはディテールの話であり、まずは上の5つを詰めておく必要があります。たとえば…

  • 自転車と電車で1時間かけて毎日背広で通勤するときに、使うショルダーバッグを探しています。
  • ほとんど内勤なので、多少カジュアルでも大丈夫です。
  • iPadを持ち歩くので、電車で出し入れしやすいものがいいです。
  • 今のショルダーバッグは、自転車の前かごに入れるとiPadが壊れるかもしれないので、リュックのような形でもいいです。
  • 予算は2万円くらいで。

というふうに言うことができれば、店員さんもいろいろ探しやすくなると思います。

良い鞄を選ぶために一番重要なことは、素材とかブランドでは無く、その鞄に何を入れ、どういう理由でどこに持って行くのかという「目的」がはっきりしている事だと思います。

なので、鞄屋さんに行って「なにか良い鞄ありませんか?」と聞いても、鞄屋さんは答えることができないのです。鞄屋さんはたぶん「どういう鞄をお探しですか?」とか「何にお使いですか?」等と聞いてきますが、要は「何に使うのか、まず目的をはっきりしてね」ということなのです。

鞄は、人々の持ち物が変わってゆくのにあわせて少しずつですが機能的に変化しています。たとえばノートパソコンが普及すれば、ノートパソコンを安全に収納する鞄が生まれ、iPadのようなタブレットが流行すればiPadを取り出しやすいスリットがついた鞄が生まれ、A4サイズの教科書が増えれば、A4サイズ対応のランドセルが生まれます。

したがって、まずは「どういう目的で」「どういうシチュエーションで」「何を入れて持ち運ぶのか」をはっきりさせると、選択肢が広がり(あるいは絞られ)選びやすくなります。

もちろん機能性だけが鞄選びのすべてではありません。建築物やファッションがそうであるように、鞄にも機能性以外のものが求められるのもたしかです。しかしそれは別に考えるとして、まずは目的を確認してみましょう

移動手段を考える

鞄は持ち運ぶものです。そして運ぶ手段としていろいろな移動手段があります。 その鞄を持ち運ぶ際にどういう移動手段を使うのかを考えてみましょう。徒歩、自転車、バイク、自家用車、バス、電車、飛行機…。

電車通勤を基本に考える場合

電車通勤が基本の場合、座席に座れるなら、隣の人にぶつからないような幅でかかえられるような大きさを考えたいものです。

また、つり革につかまったり、混雑する社内で人ごみに揉まれたりすることを考えると、しっかりした持ち手やショルダーストラップも重要です。私個人は、リュックタイプのバッグを愛用しています。リュックタイプでもビジネス向けのデザインのものもあるのですが、私の選択基準のひとつは、リュックの上側にしっかりして持ち手があるかどうかです。

最近流行のメンズ用の牛革トートはあまりお勧めできません。中身が見えてしまい、ビジネスシーンにはふさわしくない上に、網棚に乗せようとしても、中身が零れ落ちてしまうので載せることができません。メンズ用のトートバッグを買うなら、なんらかの形で蓋ができたりジッパーなどで閉めることができる構造のものを選ぶべきでしょう。

自転車やバイク通勤を基本に考える場合

自転車やバイクで最寄り駅まで通勤する場合は、前かごに入れるパターンか、背中に背負うパターンの二択になります。雨天時の移動を考えて防水性の高いものが良いように思います。この場合たとえば、3Wayのショルダーバッグが選択肢としては有望です。3Wayは、手に持つ、肩に掛ける、背負うの3つの方法で持ち運べるバッグです。3Wayのショルダーバッグに防水性などを求めつつ、ビジネスで使えるような商品を選ぶと良いでしょう。

自転車やバイクで最寄り駅まで通勤する場合は、前かごに入れるパターンか、背中に背負うパターンの二択になります。雨天時の移動を考えて防水性が高く、必要に応じて背負える3Wayのショルダーバッグが選択肢としては有望だと書きました。

下記のビジネスバッグは、防水加工に加えて、ファスナーから水が入り込みにくい止水加工がされている3Wayブリーフケースの一例です。

3Wayはナイロン製が多いのですが、こういう合成皮革のダレスバッグをベースにした変わり種もあります。

3Wayは機能的には優れているのですが、鞄のフォルムとしてはゴテゴテしていてややヤボったい印象があります。ショルダーストラップとリュックの肩紐が鞄から垂れ下がっているのは、美しいとは言えません。そこで、いくつかの3Wayは、使わないときのストラップをいかに隠すかということに工夫をしています。商品を選ぶときは、そのあたりをよく見てみるといいと思います。

営業外回りを基本に考える場合

営業外回りと言っても、職業や移動手段によって雰囲気が違ってくるので一概にどのような外観が良いかは言えませんが、見落としがちなのは、セキュリティの観点です。パソコンやUSBメモリ、スマホはもちろん、手帳に至るまで営業マンの持ち物には重要情報がたくさん詰まっています。大会社のサラリーマンであれば、セキュリティについて日ごろからうるさく言われているはずです。うっとおしいですよね。

鞄にとってのセキュリティとは、中身が盗難されにくいということです。たとえば、うっかり深酒して電車で居眠りしてしまったとしても、ショルダーストラップを肩からかけているかどうか、ファスナーが簡単に開かない構造になっているかどうかだけでも、事故に巻き込まれる確率は大きく変わってきます。バッグの中にはキーストラップ用のリングがついているものもあります。

セキュリティということでいうと豊岡鞄で有名な兵庫県豊岡市のビジネス鞄メーカー「ウノフク」のBAGGEX Lightning(バジェックス・ライトニング)は、前ポケットのファスナーをロックする盗難防止機能を搭載している3Wayバッグです。

もう一つ、営業活動の中でお客様と会話している間に鞄をどこに置くのか、という問題があります。床に置くケースも少なからずあると思います。そうなると、やはり自立する鞄の方が良いでしょう。

自立するビジネス鞄で有名なのが、パイロットケース・フライトケースです。アタッシェケースのようなハードな筐体で、床においたまま書類を上から取り出すことができます。ケース型のバッグは製造が難しいので、メーカーも少なくなっています。

パイロットケース・フライトケース等、ケース型のバッグは製造が難しいので、メーカーも少なくなっていますが、株式会社平野のG-GUSTOというシリーズであれば日本製で安心して使うことができます。

ダレスバッグやドクターバッグも上から荷物を取り出すことができますが、良い革素材で作られている高級鞄を地面に置く勇気があれば、選択肢に入るかもしれません。

外回りの場合、都会で事務所をvまわるケースであれば良いのですが、職種によっては、本当に屋外のハードな環境を動き回っている人も居られます。建設現場や、農場、漁港等を頻繁に訪問する場合には、床では無く砂利や土の地面、あるいは濡れた床面にバッグを置いたりすることになるので、その点を考慮に入れて鞄を選びます。

おなじBAGGEXでもHIGH GUARDというシリーズは、特殊なポリウレタン表面加工で、耐摩耗性、対引裂性、撥水性を実現しています。こういう素材だと、建設現場や、農場、漁港等を頻繁に訪問する場合にも便利でしょう。

中身をいつ使うのかを考える

鞄を選ぶときの重要な機能として、ポケット等、移動中に使う機能があります。つまり、鞄に入れるもののうち、手に持っているときや移動中に使うものは何かということです。

たとえば電車やバスで通勤している方は、車内や駅・バス停での行動について思い出してみましょう。車内でスマホやタブレット、文庫本や新聞等を出し入れしていますか?冬だとマフラーや手袋を外して鞄に仕舞い込んだりしませんか?定期券はポケットに入れていますか?それとも鞄のポケットに入れていますか?

職場に到着してから、鞄をどう使うかによっても考える要素が変わってきます。その鞄に、会社の資料を詰め込んですぐに飛び出してゆく人、鞄はロッカー等に仕舞い込んで、作業着に着替えて仕事をするというケースも考えられます。

荷物が少なければ、薄手の手提ブリーフケースが第一候補です。種類も多く選び甲斐があります。多少荷物があるようならば、ショルダーストラップのあるブリーフケースや厚み(マチ幅)があまり無いビジネスリュックタイプが選択枝になります。

  • 通勤途中に新聞を買って、鞄に入れる。
  • 通勤定期券・パスケースは鞄に入れておいて、改札を通るときに取り出す。
  • 鞄を手に持ちながらさっと資料やパンフレットを取り出したい。
  • 手帳や筆記用具は頻繁に出し入れする。
  • 携帯電話やヘッドフォンを頻繁に出し入れする。
  • タバコとライターは、冬はスーツのポケットに入れるが、夏は鞄に入れる。

PAGE TOP