キャリーバッグでの事故

2008年頃から、新幹線ホームなどでキャリーバッグのハンドリングに注意する構内アナウンスが行われるようになった。

たしかに、キャリーバッグを斜めに倒して引っ張って歩いている人の後ろは怖い。新幹線の駅ホームの場合、人も多いし急に立ち止まられる確率が高いからだ。手持ちのバッグだと、前の人にぶつかるほど接近しようと思えば、前の人がその気配を感じることもできるし、ぶつかる相手が人間なので、意外と安全なものだが、1.5メートル前に人がいて、その人が引っ張っているバッグが足もと近くにある場合に、前の人が急に立ち止まると結構怖い。方向転換されても怖い。

明らかに海外旅行と分かるような大型のスーツケースより、手で持てないことはないけど重たいからキャリーバッグ、という小さなもののほうが手軽なだけに危ない気がする。

賠償金100万円の事例も

2015年には、「鉄道の駅構内においてキャリーバッグを曳いていた者の歩行者に対する不法行為が認められた事例(東京地判平27・4・24)」という判例が出ている。

事件は、2014年某日午後2時、京王井の頭線吉祥寺駅の構内で、88歳の老人が、被告のひくキャリーバッグに接触し、転倒して骨折等の傷害を負ったというもの。

原告はキャリーバッグを曳いて歩行していた際、すれちがった原告の足に接触したと主張し、被告は接触した事実はないとして争った。

判決は、キャリーバッグが原告の足に当たったことを認定し、「歩行者が、駅構内のような人通りが多い場所でキャリーバッグを使用する場合には、曳いているキャリーバッグが他の歩行者の歩行を妨げたり、それに躓いて転倒させることがないよう注意すべき義務を負う」と判示して、被告の不法行為責任を認めた。

ただし、対向の歩行者が大量の荷物を持っていたり、キャリーバッグを曳いていることは当然予測できるとし、原告が高齢であることも鑑みて、結果として原告にも25%の過失を認めている。

http://hanreijiho.co.jp/wordpress/book/%E5%88%A4%E4%BE%8B%E6%99%82%E5%A0%B1-no-2267/

下りのエスカレーターが危険

キャリーバッグをエスカレーターで落下させる事故の大半は、下りのエスカレーターで発生するのだという。 下りのエスカレーターでは、だいたい荷物を自分の目の前に置く。

キャリーバッグが広まってかれこれ10年近く

私も昔、2009年のブログで

他にも駅構内のエスカレーターでキャリーバッグが落ちる事故が他社で起こっているというのだから、そのうち、つい目を離しているうちにバッグが線路に落ちて列車を止めてしまった、というような事故も無いとは言えない。

と書いていたのだが、2013年には実際に列車を止める事故が起こっていたらしい。 そして先に書いたように実際の判例なども出るようになってきている。

4輪の場合、体の横や前に添わせて引っ張ることができるので、2輪型のようにナナメにして引っ張るよりも、他の通行人への迷惑は少ないように思われる。

ストッパー付のキャリーバッグを選ぼう

しかし4輪型のキャリーバッグは、不意に転がることが懸念点である。

昔は海外製のスーツケースなどで2輪型が多くみられていたが、最近は小さな数千円のキャリーケースでも4輪のものが増えてきたように思う。2輪と違って4輪型のキャリーバッグはしらないうちにどこかに転がってしまうことがある。

以前、こんな様子を目撃したことがある。

4輪キャリーバッグを自分の隣の空いている座席の前に置いていた人がいた。大きすぎるか重たすぎるために、新幹線の網棚に載せることができなかったのだろう。その人は新幹線の窓際E席にすわり、D席に荷物を置いていた。私は通路を挟んでA席に座っていた。

やがてその人が眠りに落ちると、4輪のキャリーバッグは座席の前後にカタカタと当たりながら徐々に通路側に飛び出してきて、とうとう通路をザーーーっと転がっていってしまったのだ。当の本人は知らずに寝ているのである。うしろの方の座席の誰かがキャリーをもって前の方に歩いてきたので、私は「コノヒトのニモツ」と指をさして知らせると、その人はキャリーを横に寝かせて車輪が動かないようにして座席の前に置き、後ろに去っていった。

国民生活センターの呼びかけ

国民生活センターは、2010年にパンフレットを作ってキャリーバッグ事故に対する注意を呼びかけている。 http://www.kokusen.go.jp/kiken/pdf/294dl_kiken.pdf

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