諸官省用達商人名鑑 伊勢源商店
2008/3/3 23:30:52 by 太田垣再び明治期の「鞄」の調査です。明治の初め頃からいつまでかはわからないが、東京、麹町、山元町(今でいう村上開新堂の近く)に「伊勢源商店」という会社があったようだ。靴や鞄を主に軍隊に卸していたメーカーである。「諸官省用達商人名鑑」というこの本は、そのタイトルの通り、役所に品物(主に武器、兵器類の紹介が多い)を納めている会社のうち大手の会社を紹介する冊子である。伊勢源という会社については、鞄街道百余年(大日向善吉)でも出てこなかったように思う。官業中心だったからだろうか、靴がメインだったからだろうか。
とりあえず覚書として書き残しておく。
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タイトル : 諸官省用達商人名鑑 前編
タイトルよみ : ショカンショウ ヨウタシショウニンメイカン
責任表示 : 山口晋一編
出版事項 : 東京:運輸日報社,明43.9
形態 : 80p 図版;15×23cmNDC分類 : 281.03
著者標目 : 山口,晋一
著者標目よみ : ヤマグチ,シンイチ
全国書誌番号 : 40017122
請求記号 : YDM5512
西暦年 : 1910
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P11 合資会社イセゲン商店
東京市麹町区山元町一丁目にあり、皮革原料及び靴、鞄、革具並に軍隊用重要諸品の製造販売を業とし、主として所官省用達を為す。明治三年先代木村源兵衛氏に依りて創業せられたるものにして、同氏歿後当代源兵衛氏其後を継で現に代表社員たり。
▲製品原料は之を英、米、獨等の諸国に仰ぎ、販路は日本全国は勿論、清、露、二国其外に向て漸次拡張しつつあり。工場の数は六ヶ所に亘り、支店は東京市四谷区伝馬町三丁目にあり、同氏点に於ては本店が主として所管省の用達を営めるに対して、専ぱら一般需要者に向つて小売りを為しつつあり。
▲元来同店が最も世間の好評を受けたるは馬具、及長靴なるも前掲営業品目の何れも敢て馬具、長靴に譲らざる優良の製品にして、現に____各宮殿下のご用命を承るの光栄を荷ひつつあるも偶然にあらず、而て其如斯優良品を製出するには自づら因由するところなかるべからず、乃はち一は『物を売るには買ふ人の了簡で売るべし』と云へる先代以来の家憲を守り居れるに由るべく、他の一は職工優遇法の宣しきを得るより、自然熟練せる職工の永続せるに由るべし、現に同店には四十年以上勤続の職工ありて、今尚ほ忠実に就業し居れりと云ふ
▲当代木村源兵衛氏は明治十年を以て東京に生れ、敢て学歴の挙ぐるに足るものなしと雖 曾て皮革原料の産地を調査するの目的を以て、蒙古、満州、及び清国内地を視察し、又日本内地は殆んど足跡を印せざるところなきまでに巡視して、製品需要の状況を調査し、具さに斯業経営上の研究を積みたるを以て、当業者としては最も適材を有するものと云ふべく、同業組合会員に在ても大に信望を寄せられ、現に名誉の要職を擔任し居れり。
▲尚現に特筆すべきは、同店がその製品を未だ曾て博覧会、共進会などに出品したることなきの一事なり、其製品が優良なるに拘らず、賞牌を以て之を證するものなきは乃はち之が為なり、世間滔々として名聞に章憧憬する中に、独り同店の如きあるは異とすべし。
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